■数の幾何学(その27)
【3】マルコフ方程式
マルコフ数は3元2次のディオファントス方程式
x^2+y^2+z^2=3xyz
の解として現れることは前述したとおりであり,大いに興味をかき立ててきたディオファントス方程式である.マルコフ方程式のすべての解を求める問題は,たとえば3元3次の方程式x^3+y^3+z^3=x+y+zの場合とは違って,x,y,zの各変数に関して2次式になっているので1つの解の中の数を使って別の解を作ることができます.
[1]z=xy/2・{3±(9−4/x^2−4/y^2)^1/2}
であり,1≦x≦y≦zとしても一般性は失われない.
(x,y)=(1,1)からスタートすると
→z^2+2=3z→z=1,2→(1,1,1),(1,1,2)
(x,y)=(1,2)からスタートすると→z=1,5→(1,1,2),(1,2,5)
(x,y)=(1,1)→z=1,2
(x,y)=(1,2)→z=1,5
(x,y)=(1,5)→z=2,13
(x,y)=(2,5)→z=1,29
[2]一般に(a,b,c)からスタートすると
(a,c,3ac−b),a≦c≦3ac−b
(b,c,3bc−a),b≦c≦3bc−a
も解となる.すると(1,1,1)には親がいないことになる.
[3]すべての解は特異解(1,1,1),(1,1,2)から生成される.
[4](x,y,z)=(1,1,1),(2,1,1),(5,1,2),(13,1,5),(29,5,2),・・・はひとつの整数解が次の解を導き,特異解(1,1,1),(1,1,2)以外のすべての解はx,y,zの値が相異なります(x<y<z).
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こうして,2次のディオファントス方程式x^2+y^2+z^2=3xyzの解として現れる,
1,2,5,13,29,34,89,169,194,233,433,610,985,・・・
はマルコフ数と呼ばれます.ここで,
[1]1,2,5,13,34,89,233,610,1597,・・・はフィボナッチ数のひとつ置きの数列になっている.項比は
φ^2=(3+√5)/2
に近づく.
[2]2,5,13,29,34,89,169,194,233,433,610,985,1325,・・・は2乗和で表される数列である.
2=1^2+1^2
5=1^2+2^2
13=2^2+3^2
29=2^2+5^2
34=3^2+5^2
89=5^2+8^2
[3](a,b,c)がマルコフ解であるならば,3ac−b>0である.
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[Q](x,433,37666)がマルコフ解であるとき,xを求めよ.
[A]x^2+433^2+37666^2=3・433・37666xを解くのは大変である.そこで,・・・
37666÷3・433=28.9
37666÷3・433=28余り1294
37666÷3・433=29不足5
この29が求める解xとなる.
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