■数の幾何学(その12)

【2】√2のディオファントス近似とペル方程式(2)

次に,√2に収束する分数列を別法により構成してみます.まず

an^2−2bn^2=−1

が成り立つ最小解は(a,b)=(1,1)であることから,

  (1+√2)^n=an+bn√2

  (1−√2)^n=an−bn√2

を満足させるような整数列{an},{bn}を考えます.これらの数列は

  an^2−2bn^2=(−1)^n

となる関係式で結ばれていて,

  an/bn→ √2

ですから,√2に最も近い最良近似分数を与えることがわかります.

  an+1+bn+1√2=(1+√2)^n(an+bn√2)

          =(an+2bn)+(an+bn)√2

より

  an+1=an+2bn,bn+1=an+bn

  an+1=an+2bn=an+2(an-1+bn-1)

 =an+an-1+(an-1+2bn-1)=2an+an-1

  bn+1=an+bn=(an-1+2bn-1)+bn

 =(an-1+bn-1)+bn+bn-1=2bn+bn-1

これより,

  an+1=2an+an-1,bn+1=2bn+bn-1

 

α,βを2次方程式x^2−2x−1=0の根1±√2として,

  an+1−αan=β(an−αan-1)=β^2(an-1−αan-2)=・・・=β^(n-1)(a2−αa1)

α,βを入れ替えると

  an+1−βan=α^(n-1)(a2−βa1)

  an+1−αan=β^(n-1)(a2−αa1)

したがって,整数列{an}の一般項は

  an={α^(n-1)(a2−βa1)−β^(n-1)(a2−αa1)}/(α−β)

α=1+√2,β=1−√2,初期値をa1=1,a2=3とすると

  an=1/2{(1+√2)^n+(1−√2)^n}

 

整数列{bn}でも同じ漸化式ですから,同じ一般項になります.

  bn={α^(n-1)(b2−βb1)−β^(n-1)(b2−αb1)}/(α−β)

初期値をb1=1,b2=2とすると

  bn=1/2√2{(1+√2)^n−(1−√2)^n}

ここで,n→∞のとき(1−√2)^n→0ですから

  an/bn→ √2

となるのを確かめることができます.

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