■数の幾何学(その11)

【1】√2のディオファントス近似とペル方程式(1)

√2は2つの整数の比p/qではないので,√2=p/qすなわちp^2=2q^2になるような2つの整数p,qを見つけることはできません.しかし,誤差±1を許すことにすると

  2q^2=p^2±1  (ペル方程式)

なる2つの整数p,qを見つけることができます.(p,q)=(1,1)が最小解ですが,以後(3,2),(7,5),(17,12),(41,29),(99,70),(239,169)・・・と続いていきます.

  1^2+1^2=1^2+1

  2^2+2^2=3^2−1

  5^2+5^2=7^2+1

  12^2+12^2=17^2−1

  ・・・・・・・・・・・・・

このとき,右辺の±1は交互に繰り返し現れます.

これより,√2の最良近似値は1/1,3/2,7/5,17/12,41/29,・・・であることがわかりますが,このような分数を全部求めるには1/1から出発して1+1=2が次の分母になり,1+2=3が次の分子になる,3+2=5が第3の分母,2+5=7が第3の分子になる,すなわち,1つ前の分数の分子と分母の和が次の分母になり,ひとつ前の分数の分母を2倍したものとその分子の和が次の分子になり,同様に続いていくという算術的な規則がみつかります.

 1/1↓ ↑3/2↓ ↑7/5↓ ↑17/12↓ ↑41/29↓ ・・・

このようにすると,ペル方程式:p^2−2q^2=±1を満たすp/qがひとつの分数で,P/Qが次の分数だとすると

  Q=p+q,P=q+Q=p+2q

  P^2−2Q^2=2q^2−p^2=±1

となって,P/QもまたP^2−2Q^2=±1となる分数を与えることができることになります.1/1から始まって次々に解となる分数を見つけることができるというわけです.

また,この有理数近似数列のある項をp/qとすれば,次の項は

  P/Q=(p+2q)/(p+q)

となり,その際,

  p^2−2q^2=1とするとP^2−Q^2=−1

  p^2−2q^2=−1とするとP^2−Q^2=1

になり,交互に符号が変わります.すなわち,√2より交互に大きいか小さいということになります.

p/q→P/Q=(p+2q)/(p+q)

(−1) 1/1<7/5<41/29<239/169<・・・<√2<・・・<577/408<99/70<17/12<3/2 (+1)

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