■三角形の心(その57)
===================================
PQ=λ(c+a)/(1+λ)
QR=λ(a+b)/(1+λ)
RP=λ(b+c)/(1+λ)
a+b+c=0より,
PQ=−λb/(1+λ)
QR=λ(a+b)/(1+λ)
RP=−λa/(1+λ)
したがって, 縮小三角形がもとの三角形と相似とすると,面積の関係から長さの相似比は
(λ^2−λ+1)^1/2/(λ+1)
である.したがって,PQ^2,QR^2,RP^2は
a^2,b^2,c^2/(λ^2−λ+1)
のいずれかに等しくなる.すなわち,
(a^2,b^2,c^2)(λ^2−λ+1)
のいずれかに等しくなる.
この形で方程式を作るが,同じ向きに相似なとき,それぞれの辺が最も近い辺に比例すると仮定すると
c^2=a^2+2a・b+b^2,2a・b=c^2−a^2−b^2
より
a^2λ(λ−1)+b^2(1−λ)+c^2λ=c^2(λ^2−λ+1)
a^2λ+b^2λ(λ−1)+c^2(1−λ)=a^2(λ^2−λ+1)
a^2(1−λ)+b^2λ+c^2λ(λ−1)=b^2(λ^2−λ+1)
を得ます.
3式を加えると,両辺とも
左辺(a^2+b^2+c^2)(λ^2−λ+1)
となる.
この方程式を整理すると,第1式から
a^2λ(λ−1)−b^2(λ−1)+c^2(λ−1)^2=0
したがって,λ=1(中点をとる)か,または,a^2λ−b^2+c^2(λ−1)=0を得ます.
λ≠1なら同様に
−a^2(λ−1)+b^2λ−c^2=0
−a^2+b^2(λ−1)+c^2λ=0
を得ます(和は0).これから
a^2−b^2=λ(c^2−b^2)
などがでるので,a=b=c(正三角形)なら文句なし,そうでないと
λ=(c^2−b^2)/(a^2−b^2)=(a^2−c^2)/(b^2−c^2)=(b^2−a^2)/(c^2−a^2)
などとなりますが,これは分母を払って整理するとa=b=c以外には成立しません.
すなわち,この場合は元の三角形が正三角形であるが,またはλ=1(中点)のときに限ります.もっとも直接初等幾何学的に考えた方が早いかもしれません.
===================================