■整角四角形(その4)
頂角10°,20°,30°のタケノコ図から,今回はそれを一般化して頂角θのタケノコ図を考えてみます.
その特別な場合としてタケノコ図が二等辺三角形になる場合,直角三角形になる場合について調べてみましょう.
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【1】タケノコ二等辺三角形
タケノコ二等辺三角形では,
nθ=(π−θ)/2
(2n+1)θ=π
が成り立ちます.
n=3 → θ=π/7
n=4 → θ=π/9
n=5 → θ=π/11
正7角形や正9角形を定規とコンパスだけを使って描くことは不可能ですが,7本あるいは9本の線分を使って二等辺三角形上に載るように並べることができれば,角度π/7,π/9を作ることは可能です.
頂角20°=π/9の二等辺三角形を4個の二等辺三角形に分割する方法は11世紀のアラブの学者によって発見されていて,半径1の円に内接する1辺の長さxは3次方程式x^3+1=3xの解として求められます.
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【2】タケノコ直角三角形
タケノコ直角三角形では,
{cos(2n+1)θ−cosθ}/sinθ=−2{sin2θ+sin4θ++sin6θ+・・・}=−2Σsin2kx
が成り立ちます.
これを[x,π/2]で積分すると
log(sinx)+∫(x,π/2)cos(2n+1)θ/sinθdθ
=Σ{(-1)^k/k−cos2kx/k}
このように,オイラーはいろいろな工夫をして,
log(sinx)=-Σcos(2nx)/n-log2
であることをつきとめ,広義積分
∫(0,π/2)log(sinx)dx=-π/2log2
の値を求めています.
また,これを代入して計算すれば
1/1^3+1/3^3+1/5^3+・・・=π^2/4log2+2∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
が得られます(1772年).ζ(3)が現れましたが,ζ(3)はいまだ無理数であることしかわかっていません.
オイラーによる
ζ(3)=2π^2/7log2+16/7∫(0,π/2)xlog(sinx)dx
という結果(log2の有理式×π^2)から,ζ(2n+1)は有理数と円周率から四則演算によって得られる数ではないだろうと予想されていますが,証明されてはいません.また,log2を含むであろうと推測されています.
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