■包絡線(その3)

【1】包絡線の求め方

 陰関数f(x,y)=0上の点(x,y)で接線の方程式を求めるには,2変数関数の微分の知識が必要です.その場合,f(x,y)=0のyをxの関数(f(x,y(x))=0)とみなして,両辺をxで偏微分すれば2変数関数の合成微分の公式によって

  ∂f/∂xdx/dx+∂f/∂ydy/dx=0

すなわち,fx+fydy/dx=0より,

  y’=dy/dx=−fx/fy

が得られます.fx+fyy’=0の式をxの関数とみて,さらに,この両辺をxで微分すれば

fxx+fxyy’+(fyx+fyyy’)y’+fyy”=0

より

  y”=d^2y/dx^2

    =−1/fy(fxx−2fxyfx/fy+fyyfx^2/fy^2)

が得られます.決して,y”=−fxx/fyyなどというでたらめを書かないように!

 曲線族の各々の曲線すべてに接する曲線が包絡線です.曲線族が陰関数f(x,y,t)=0で与えられている場合,パラメータtが動くときの包絡線の方程式を求めるにはft=0を解いてt=g(x,y)を消去したり,あるいはx,yをtで表します.

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 考える直線族を

  u(s)x+v(s)y=1

とした場合,その包絡線は

  u(s+h)x+v(s+h)y=1

との交点を求め,h→0としたときの交点の軌跡と考えられますから,

  u’(s)x+v’(s)y=0

  u(s)x+v(s)y=1

を連立させて計算できます.

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【2】包絡線の実例

[1]定点F(0,1)と定直線L(y=−1)上の動点A(2s,−1)を結ぶ線分の垂直二等分線族の包絡線

 中点の座標は(s,0)であるから,垂直二等分線は

  y=s(x−s)

  x/s−y/s^2=1

  u(s)=1/s,v(s)=−1/s^2

  u’(s)x+v’(s)y=0→sx=2y

連立させてx,yについて解くと

  x=2s,y=s^2→y=x^2/4  (放物線)

[2]長さ1の線分の一端A(cosθ,0)がx軸上に,他端(0,sinθ,0)がy軸上にあるとき,この線分の包絡線

 答えはアステロイド(a=1)

  x^2/3+y^2/3=a^2/3

  x=(acosθ)^3

  y=(asinθ)^3

になることはよく知られている.

 線分ABの方程式は

  x/cosθs+y/sinθ=1

  u(s)=1/cosθ,v(s)=1/sinθ

  u’(s)x+v’(s)y=0

  sinθx/cos^2θ−cosθy/sin^2θ=0

連立させてx,yについて解くと

  x=cos^3θ,y=sin^3θ

  x^2/3+y^2/3=1  (アステロイド)

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