■中央二項係数とカタラン数(その13)
各ステップでの変位の特性関数がλ(k)で与えられている.n個の同一分布にしたがう確率変数の和の特性関数は,特性関数のn回の積で与えられる.
Pn(k)={λ(k)}^n
[1]λ(k)が正規分布に従うとき,nステップ後の変位の分布Pn(x)は正規分布に従う.
[2]λ(k)がコーシー分布に従うとき,nステップ後の変位の分布Pn(x)はコーシー分布に従う.
1ステップでの変位の分布おいて,2次モーメントが存在しないときを考える.すなわち,中心極限定理が破れたときである.
たとえば,コーシー分布では2次モーメントは存在せず,nステップ後の変位の分布はコーシー分布になる.
[3]安定性
正規分布に従う確率変数の和の分布は正規分布に,コーシー分布に従う確率変数の和の分布はコーシー分布にしたがうという性質をもっている.
しかし,この性質(安定性)をもつのは,正規分布やコーシー分布だけではない.一般に,分布p(x)が漸近的に指数0<α<2であるベキ分布
p(x)〜A/x^(1+α)
Pn(k)→exp(−ak^α)
a:スケールパラメータ,α:指数
はレヴィ分布と呼ばれる.
このようなすべての分布は安定性をもつ.コーシー分布はそのひとつで,正規分布(α=2,Pn(k)→exp(−ak^2))はその極限である.
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