■オイラーの素数生成公式とラビノヴィッチの定理(その13)

【3】ラマヌジャンの定数

もうひとつの注目すべき事実は

  x=exp(π√d)

が数値的にとても整数に近くなりうるというものです.

  exp(π√43)=884736743.999777・・・

  exp(π√67)=147197952743.99999866・・・

  exp(π√163)=262537412640768743.99999999999925007・・・

整数との差ε=7.5×10^-13はわずか1兆分の1未満であり,見事である.これは決して偶然の一致ではありません.

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  x−744+196884/x−21493760/x^2+・・・

は重さ0のモジュラー関数

j(z)=1/q+744+196884q+21493760q^2+864299970q^3+・・・

においてq→−1/xとしたものです.xが大きいほど後半の項は小さな値となるので,x自身は極めて整数(実は立方数)に近い数になるというわけです.

  exp(π√43)=960^3+744−ε

  exp(π√67)=5280^3+744−ε

  exp(π√163)=640320^3+744−ε

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exp(π√163)は,1965年のエイプリル・フールのジョークとして,マーチン・ガードナーは整数だと主張し,さらに,冗談で1914年のラマヌジャンの論文に書かれてあるとしました.しかしながら,ゲルフォント・シュナイダーの定理より,exp(π√163)は超越数であって,整数にはならないことが証明されます.もしこれが整数になったら一大事ですが,整数との差はわずか1兆分の1未満であって,見事としかいいようがありません.それ以降,exp(π√163)はラマヌジャン定数という名前で呼ばれるようになったとのことです.

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