■有限体とガロア体(その11)
x^2+1は体C上では(x+i)(x-i)と因数分解できるが、体Qうえでは既約である。
おもしろいことに有限体GF(2)上では
x^2+1=x^2+2x+1=(x+1)^2のように因数分解できる。
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【4】16元ガロア体の生成
ここでは、既約多項式π(x)=1+x+x^4と原始元α=(0,1,0,0)=xを利用して位数16の有限体を生成したい。
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1+x+x^4を法とする剰余簡約では、1の要素αから始め、次にα=xをかけるので、1が右から消えるとき、一番左側の2つの位置に2を法として1を加えることに対応している
すなわち、
(0,0,0,0)=0
(1,0,0,0)=1
(0,1,0,0)=x
(0,0,1,0)=x^2
(0,0,0,1)=x^3
(1,1,0,0)=1+x
(0,1,1,0)=x+x^2
(0,0,1,1)=x^2+x^3
(1,1,0,1)=1+x+x^3
(1,0,1,0)=1+x^2
(0,1,0,1)=x+x^3
(1,1,1,0)=1+x+x^2
(0,1,1,1)=x+x^2+x^3
(1,1,1,1)=1+x+x^2+x3
(1,0,1,1)=1+x^2+x^3
(1,0,0,1)=1+x^3
(1,0,0,0)=1
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【5】2^m元ガロア体の原始多項式
m=4の場合はπ(x)=1+x+x^4を用いたが、
m=2の場合、π(x)=1+x+x^2
m=3の場合、π(x)=1+x+x^3
m=4の場合、π(x)=1+x+x^4
m=5の場合、π(x)=1+x^2+x^5
m=6の場合、π(x)=1+x+x^6
を用いることによって実現される。
1+x+x^5はGF(2)上で既約ではなく、(1+x^2+x^3)(1+x+x^2)と因数分解される
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mの場合の原始多項式は
φ(p^m-1)/m個
存在する。
m=5の場合、φ(2^5-1)/5=6個nの異なる原始多項式が存在する。
π(x)=1+x^2+x^5
π(x)=1+x^3+x^5
π(x)=1+x+x^2+x^3+x^5
π(x)=1+x^2+x^3+x^4+x^5
π(x)=1+x+x^2+x^4+x^5
π(x)=1+x+x^3+x^4+x^5
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φ(m)は,mと互いに素であり,mより小さい整数r,1≦r<mの個数として定義される.すなわち,φ(m)は1からm−1までの整数のうち,mと公約数をもたない数はいくつあるかを数えた数を表す.
m=9→1,2,4,5,7,8→φ(9)=6
m=10→1,3,7,9→φ(10)=4
φ(1)=1,φ(2)=1,φ(3)=2,φ(4)=2
φ(5)=4,φ(6)=2,φ(7)=6,φ(8)=4
φ(9)=6,φ(10)=4,
φ(p)=p−1
φ(p^a)=(p−1)p^(a-1)=p^a(1−1/p)
φ(m)=mΠ(1−1/pi)
φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4
m=2のとき、φ(3)/2=1
m=3のとき、φ(7)/3=2
m=4のとき、φ(15)/4
φ(15)=φ(3)φ(5)=8より
m=4のとき、φ(15)/4=2・・・(1+x+x^4と1+x^3+x^4)
1+x+x^2+x^3+x~4は既約多項式であるが、原始元をもたないので原始多項式ではない
原始多項式でない既約多項式はn(1+x+x^2+x^3+x~4)(1+x)=1+x^5
m=5のとき、φ(31)/5=30/5=6
m=6のとき、φ(63)/6
φ(63)=φ(7)φ(9)=36より
φ(36)/6=6
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[Q]ディリクレの算術級数定理(1837年)
数列{a+nd},aとodは互いの素
のなかに素数は無限に存在する.
そして,有名な素数定理(PT)は,漸近分布の形で
π(x)〜x/logx
と表すことができます.素数は無限個存在し,そして等差数列{a+kn}にも素数は無限に含まれるのですが,素数pでa+knの形のものの分布問題がディリクレの算術級数定理です.
π(x;a,n)〜C・x/logx C=1/φ(n)
算術級数定理は素数定理を精密化したもので,初項aの取り方にはよらないのですが,ここで,オイラーの関数φ(n)は1からn−1までの整数のうち,nと互いに素になるものの個数
φ(n)=#(Z/nZ)
として定義されます.たとえば,n=7の場合,1,2,3,4,5,6なのでφ(7)=6,n=10の場合1,3,7,9がそうなのでφ(10)=4となります.
1760年頃,オイラーは,数nが素因数p,q,r,・・・をもつときに,それらの重複度にかかわらず,
φ(n)=n(1−1/p)(1−1/q)(1−1/r)・・・
であることを示しました.この原理は「エラトステネスのふるい」によっているのですが,たとえば,10=2・5,44=2^2・11,100=2^2・5^2より,
φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4
φ(44)=44(1−1/2)(1−1/11)=20
φ(100)=100(1−1/2)(1−1/5)=40
また,任意の素数pに対して,
φ(p^n)=p^n(1−1/p)
したがって,
φ(p)=p(1−1/p)=p−1
となります.
なお,算術級数定理の証明にはディリクレのL関数
L(s,χ)=Π(1−χ(p)p^(-s))^(-1)
χは乗法群(Z/nZ)の1次元表現
が用いられます.
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φ(15)=φ(3)φ(5)=8=15(1-1/3)(1-1/5)=8
φ(63)=φ(7)φ(9)=36=63(1-1/3)(1-1/7)=36
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