■双子素数の漸近確率密度(その1)
その差が2であるような素数のペア(p,p+2)を双子素数と呼びます.100までの双子素数は(3,5),(5,7),(11,13),(17,19),(29,31),(41,43),(59,61),(71,73)の8組. 100から200までの双子素数は(101,103),(107,109),(137,139),(149,151),(179,181),(191,193),(197,199)の7組.ちょっと大きなものでは(22271,22273),・・・などがあります.
双子素数が無限に多く存在するかどうかはいまのところわかっていません.双子素数の場合に難しいのは素数全体のときと異なって,双子素数の逆数の和
1/3+1/5+1/5+1/7+1/11+1/13+1/17+1/19+・・・+1/p+1/(p+2)+・・・
が無限大とはならずに,その和が1.90195・・・(ブルンの定数:1919年)となることが証明されている点です.このことは,双子素数が無限にあるとしても,まれにしか存在しないことを示しています.そのため,双子素数が無限に存在することの有力な証拠は見つかっているにもかかわらず,完全な証明には至っていないのです.
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双子素数の分布に関しては,ハーディとリトルウッドによって,
πt(x)〜Cx/(logx)^2
ただし,pを3以上の素数として
C=2Π(1−1/(p−1)^2)=1.3203・・・
と予想されています.
(ラフプロット)素数定理によりx近辺の数が素数である確率はおよそ
1/logx
である.x+2が素数である確率もおよそ
1/logx
となるから,これらが双子素数となる確率はおよそ
1/(logx)^2
したがって,x以下の双子素数の組の数はおよそ
x/(logx)^2
となる.
それではCは何を意味しているのだろうか? じつはxとx+2が素数となる確率は独立していないので,上の議論を修正しなければならない.そのための補正項がCとなるのである.
任意に選んだ2数がともにpで割り切れない確率は(1−1/p)^2であるが,2つの数(p,p+2)は差が2なので,両方ともpで割り切れない確率は(1−2/p)である.よって,奇素数pに対しては係数
(1−2/p)/(1−1/p)^2=p(p−2)/(p−1)^2
=1−1/(p−1)^2
素数2に対しては2をかけて補正を行う必要がある.そのための補正係数が双子素数係数
C=2Π(1−1/(p−1)^2)=1.3203・・・
というわけである.
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πt(x)〜Cx/(logx)^2
は無限の多くの双子素数があることを示していますが、いままで証明されていません。
しかし、この法則は経験的には正しそうであり,双子素数はたぶん無限組あると信じられています.
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