■擬素数の望ましくない性質(その2)

[2]完全擬素数(カーマイケル数)

 341は2を底とする最小の擬素数でしたが,どんな底に対しても,nと互いに素であるすべてのaに対して

   a^n=a   (mod n)

が成り立つ合成数nのこと.最小のカーマイケル数は561.

1912年,カーマイケルは,561が完全擬素数であることを示しました.b=2からb=559まで

  b^561=b   (mod 561)

が成り立つことを確かめたのです.

561=3・11・17

b^561−bが561で割り切れることを示すためには,3,11,17で割り切れることを示さなければならなりません.

  b^561=b  (mod 3)

  b^561=b  (mod 11)

  b^561=b  (mod 17)

ここでは,

  b^561=b  (mod 17)

を示します.17がbを割り切らないとき,フェルマーの小定理より,

  b^16=1  (mod 17)

561=35・16+1より,

  b^561=(b^16)^35・b=b  (mod 17)

となる.同様に

  561=280・2+1

  561=56・10+1

より,

  b^561=b  (mod 3)

  b^561=b  (mod 11)

も示すことができます.

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