■制限のある分割から(その16)
【3】ロジャース・ラマヌジャン恒等式
オイラー数は非制限分割数であるが,分割の構成数の差が2以上という制限を設けた分割と構成数が5n+1または5n+4の分割は恒に等しいというののが
Σq^(k^2)/(q;q)k=1/(q;q^5)∞(q^4;q^5)∞
すなわち
1+q/(1-q)+q^4/(1-q)(1-q^2)++q^9/(1-q)(1-q^2)(1-q^3)+・・・
=1/(1-q)(1-q^4)(1-q^6)(1-q^9)(1-q^11)(1-q^14)(1-q^19)・・・
である.
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これらの分割恒等式は無名の数学者ロジャーズ(1894),また彼とは独立にラマヌジャン(1913)によって得られた.ロジャース・ラマヌジャン恒等式は,最初ロジャースにより発見されたのであるが,誰の興味も惹かず忘れ去られていたところ,ラマヌジャンにより別証明が与えられたというわけである.
ロジャース・ラマヌジャン恒等式にはやさしい証明は存在せず,q二項係数とヤコビの三重積公式を使って証明される.ロジャース・ラマヌジャン型の恒等式は数論とのみ結びついていると考えられていたが,いまとなっては組合せ論を介して数理物理の計算に当たり前のように現れてくることが知られている.
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