■集合の分割(その12)
2円または3円が交わったヴェン図を描いたことがあるだろう.2円の場合,共通部分がひとつできるが,3円の場合は2円の共通部分が3つ,3円の共通部分がひとつできる.
中学・高校で4円以上が取り扱われることはまずないが,n円となっても原理は同じである.それは,共通部分に含まれるものを引いて,引き過ぎた分を足し直してということを繰り返す包除原理である.
包除公式の例として,撹乱数(どの文字も正しい場所にはない並べ替えの個数)がある。
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6文字とも正しい場所にない並べ替えの個数は
6!-C(6,1)5!+C(6,2)4!-C(6,3)3!+C(6,2)2!-C(6,5)1!+C(6,6)=265
したがって、どの元も元の場所にいない確率は365/6!=0.3680
これは1/e=0.3679に非常に近い値で、実際、n個の元からなる集合の撹乱数はn!/eに最も近い整数となる。
この場合は6!/e=264.873
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