■制限のある分割から(その8)

【8】マクドナルドの恒等式(1972年)

マクドナルドの恒等式は,オイラーの五角数定理やヤコビの三角数定理の一般化である.

 一般に,正の整数cに対して

  Π(1-q^n)^c=Σamq^m

を求めることは数学者の興味をかきたててきた.オイラー(c=1),ヤコビ(c=3),ロジャース,ヘッケ(c=2),ラマヌジャン(c=4,6,8),アトキンス(c=10,14,26),ダイソン(c=3,8,10,14,15,21,24,26,・・・)

 そして,特別な指数cの謎は,1972年,イギリスのマクドナルドによって解決されたのである(しかもすべての問題をきれいに片づけてしまった).マクドナルドは

  c=n^2+2n,c=2n^2+n,c=2n^2−n

c=n^2−1

に対する一般公式,および,c=14,52,78,133,248に対する公式を発見した.しかもすべての問題をきれいに片づけてしまった.ヤコビの三重積公式は2変数であったが,マクドナルドの恒等式はその一般化である(n変数).ただし,ロジャース,ヘッケ(c=2),ラマヌジャン(c=4),アトキンス(c=26)はマクドナルドの公式に含まれていないことを注意.この分野の研究はいまでも続いている.

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