■制限のある分割から(その7)

【2】マクドナルドの定数項予想

 

 定数項予想を1次元格子上の問題と理解すると,アフィン・リー環の指標公式を用いて,より一般の格子(リー環のウェイト格子)上の問題に構成するという道筋がみえてくる.そして実際にルート系との関係を見抜いたのがマクドナルドである.

 

 ワイル群の基本不変式の次数をd1,d2,・・・,dn-1,dnとすると

         d1,d2,・・・,dn-1,dn

  An 型    2,3,・・・・,n,n+1

  Bn,Cn型  2,4,,・・・,2(n−1),2n

  Dn 型    2,4,・・・・,2n−2,n

 

 マクドナルドによると,

  ルート系の定数項=Π(kdi,k)

であり,例えば,An-1型ワイル群の基本不変式の次数はd1=2,・・・dn-1=nより

  Π(kdi,k)=(2k,k)(3k,k)・・・(nk,k)=(nk)!/(k!)^n

この式はダイソンの定数項予想の式に一致する.

 

 同様に,

  Bn型:(2k)!(4k)!・・・(2nk)!/{k!(3k)!・・・((2n-1)k)!(k!)^n}

  Cn型:(2k)!(4k)!・・・(2nk)!/{k!(3k)!・・・((2n-1)k)!(k!)^n}

  Dn型:(2k)!(4k)!・・・(2nk)!/{k!(3k)!・・・((2n-3)k)!((n-1)k)!((k!)^n}

となる.これらの統一的な表記法も知られているが,詳細については

  [参]三町勝久「ダイソンからマクドナルドまで」群論の進化・第4章,朝倉書店

を参照されたい.

 

 マクドナルドの定数項予想は,ダイソンの定数項予想はAk型離散系という特定のルート系の理論であって,それ以外の離散系に対応するのはBk,Ck,Dkの理論であることを主張している.マクドナルドはもっと美しい世界があることに気がついたのであ

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