■2次の漸化式(その2)
【1】ベンフォードの法則に従う数列・従わない数列
3のベキ乗3^nを順に並べてそれぞれの最大桁の数を取り出すと
3,9,27,81,243,729,2187,6561,19683,・・・
→3,9,2,8,2,7,2,6,1,・・・
となっているのですが,3倍にした数が9で始まるためには,その前の数字が30−33で始まっていなければなりません.それに対して,4−6で始まる数はどれも3倍にすると1で始まる数になります.
2と3を交互にかけて得られる数列
1,2,6,12,36,72,216,432,1296,2592,7776,15552,・・・
も同じ理由でベンフォードの法則に従います.この数列は,ほぼ
an+1=√6an
という生成則に従う数列とみることができます.√6倍にした数が9で始まるためには,その前の数字が36−40で始まっていなければなりません.それに対して,4−8で始まる数はどれも√6倍にすると1で始まる数になります.
また,前2項の和になっているフィボナッチ数列もベンフォードの法則に従います.たとえば,1000項までの最高位の数もこの法則に従っていることがわかります.
数 1 2 3 4 5 6 7 8 9
頻度 301 177 177 96 80 67 56 53 45
この数列は,ほぼ
an+1=φan
という生成則に従う数列とみることができます.φ=(1+√5)/2
φ倍にした数が9で始まるためには,その前の数字が55−61で始まっていなければなりません.それに対して,1−6で始まる数はどれもφ倍にすると1で始まる数になります.
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【2】ベンフォードの法則に従わない数列
フィボナッチ(Fibonacci)数列は,項比が黄金比に近づくという性質がなかに隠されている慨指数関数的増加数列なのですが,黄金比がギリシア文字のφで表されることから,phi-bonacci数列と呼ぶ人さえいます.
an+1=2an
という生成則に従う数列は,ベンフォードの法則に従いますが,
an+1=2an+1
an+1=an^2
という生成則に従う数列もベンフォードの法則に従います.
ところが,
an+1=an^2+1
という生成則に従う数列では,初期値によってベンフォードの法則に従わない数列があるそうです.
たとえば,
a0=9.94962308959395941218332124109326・・・
では生成則を何回繰り返しても最初の数は9になるということです.驚きの結果です.このような初期値は無限個存在するのですが,数直線ではあまりにもまだらで,そのcardinalityは0だそうです.
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