■整数の拡大と素因数分解の一意性(その15)

pk+1型素数はガウス素数・アイゼンシュタイン素数の拡張物の積に分解できるのではないか?

という予想に到達する。本当だろうか?

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a0,a1,・・・,ap-2を整数

ζ=exp(2πi/p),pは奇素数とするとき

a0+a1ζ+a1ζ^2+・・・+ap-2ζ^p-2

の形の複素数を円分整数Z[ζ]といい、Z[ζ]を含む最小の体を円分体Q[ζ]という。

ap-1ζ^p-1が入っていないのは

ζ^p-1=-(1+ζ+ζ^2+・・・+ζ^p-2)と書けることから、ζ^p-1は消去可能で、結果的に同じ集合が得られることになるからである。

一意性が成り立つためにはap-1ζ^p-1が入っていないほうが都合がよいのである。

Z[i]やZ[ω]のように、素因数分解の一意性が成り立てばフェルマー予想の証明に活用できることから、さらに都合はよいのであるが、そうは問屋が卸さなかった

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クンマーは、p=5,7,11,13,17,19の場合にpk+1型素数について、それをノルムとする円分整数が存在することを確かめた。

しかし、p=23に反例があったのである。ノルムが47、139,277,461,967,・・・となる円分整数が存在しないのである。

Z(ζ)が素因数分解の一意性をもたないpが存在することがわかって、フェルマー予想に決着をつけることは困難になってしまったのである。

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