■整数の拡大と素因数分解の一意性(その9)
ラマヌジャンの数
1729=12^3+1^3=10^3+9^3=7・13・19
は面白いが意外と厄介な数のようです.完全擬素数(カーマイケル数)でもあります.
[Q]x^3+y^3=1729を満たす整数解(x,y)をすべて求めよ.
を整数論の立場から再考してみます.
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【1】アイゼンシュタインの整数環(1)
アイゼンスタインの整数
Z[ω]={m+nω|m,nは整数},ω=(−1+√−3)/2
には,6つの単数
±1,±ω,±ω^2
があり,正六角形の対称性をもつ三角格子をなします.単数を除いて,素因数分解の一意性が成立します.
2と6k+5型素数はZ[ω]においても素数ですが,3と6k+1型の素数はZで因数分解できます.
3=(1−ω)(1−ω^2)=(1+ω)(1−ω)^2=(1−ω)(2+ω)
7=(2−ω)(2−ω^2)
13=(3−ω)(3−ω^2)
19=(3−2ω)(3−2ω^2)
37=(4−3ω)(4−3ω^2)=(4−3ω)(7+3ω)
1729=7・13・19
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