■整数の拡大と素因数分解の一意性(その8)
【7】クラインの整数環
ガウス整数とアイゼンスタイン整数はユークリッド整域であることがわかりましたが,それに続いて最も簡単な整数環はクラインの整数環
Z(λ)={a+bλ|a,bは整数},λ=(−1+√−7)/2
です.クライン整数は2つの単数±1のみをもち,菱形格子をなします.クライン環では2が素因数分解されます.
2=(−1+√−7)/2・(−1−√−7)/2
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[補]2次形式ax^2+bxy+cy^2の判別式
D=b^2−4ac
の値が等しくなる同値でない2次形式の個数を「類数」と呼ぶ.
類数の研究はラグランジュとガウスに始まる.とくに興味が持たれるのは類数の値が1となるDがどれくらいあるかであった.
その研究は徐々に進展し,1950年代になってヘーグナー,1967年にはスターク,ベイカーによって,類数1をもつDは9つしかないことが示された.
D=−3,−4,−7,−8,−11,−19,−43,−67,−163
dに直すと
d=1,2,3,7,11,19,43,67,163
後半の4つのdに対して,Q(√−d)の整数環はユークリッド整域ではない.(整除すなわち余りを出す除法のアルゴリズムが定義できる整域をユークリッド整域という.)
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