■整数の拡大と素因数分解の一意性(その2)
【1】素因数分解の一意性とベイカー・スタークの定理
それでは,どういう負の数−dを使った整数環Z(√−d)で,素因数分解は一意となるのでしょうか? この答えは既に知られていて,次の9つの虚2次体の部分集合となる整数環Z(√−d)
d=1,2,3,7,11,19,43,67,163
に限られるというものです.
ただし,最初の2つ以外ではーd=1(mod4)なので,半整数a,bを使って,a+b√−dを作る必要があります.
{a+b√−d|Z,Z+1/2}
すなわち,
d=2,3(mod4) → ω=√d
d=1(mod4) → ω=(1+√d)/2
とすると,代数的整数の集合
Z(ω)={a+bω|a,b,は整数}
は,加法および乗法に関して閉じて環になります.このZ(ω)を2次体Q(√d)の整数環と呼びます.
実は,複素整数に限らず,四元整数,八元整数でも成分がすべて整数だけでは不十分で,適当に半整数(整数+1/2)も含める必要があります. {a+bi+cj+dk|Z,Z+1/2}
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