■ガンマ関数とボーア・モレルップの定理(その45)
円:∫1/(1-x^2)^(1/2)dxの場合は省略して,周長が
∫1/(1-x)^(1/2)dx
で表される曲線(カージオイド)のn等分問題について考えてみます.
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【1】初等関数の積分
∫1/(1-x)^(1/2)dx=-2(1-x^)^(1/2)+C
∫(0,1)1/(1-x)^(1/2)dx=2
より,n等分点は
-2(1-x)^(1/2)+2=2/n
x=1-(1-1/n)^2=(2n-1)/n^2=c
で与えられる.
したがって,カージオイドは尖点を中心とする円を使って任意等分できる曲線で,2等分点,3等分点,5等分点に対応するカージオイド曲線上の点は以下の如くである.
c (x,y)
n=2 → 3/4 → (0.375,0.6495193)
n=3 → 5/9 → (0.0617284,0.552115)
n=5 → 9/25 → (-0.1008,0.3456)
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【2】∫1/(1-x^5)^(1/2)dxの場合
オイラーは円からの類推を用いて,
1/(1-t^3)^(1/2)
1/(1-t^4)^(1/2)
1/(1-t^6)^(1/2)
に対する一般積分を見いだしているのであるが,
1/(1-t^5)^(1/2)
に対しては結果が得られなかったようだ.
∫1/(1-x^3)^(1/2)dx
は,変数変換
x=1/z,dx=−z^(-2)dz
により
∫(x,∞)1/(z^4-z)^(1/2)dz
となるが,
∫1/(1-x^5)^(1/2)dx
はx=1/√zと変数変換してもx=1/zと変数変換しても,楕円積分は得られない,
これまで調べた曲線では
[1]任意等分可能・・・・・・カージオイド
[2]2^mΠpi 等分可能・・・円,レムニスケート
[3]2^m等分可能・・・・・・r^3/2=cos(3θ/2),r^3=cos(3θ)
[4]2等分すら不可能・・・・r^5/2=cos(5θ/2),r^n/2=cos(nθ/2) (n≧6)
となっていたが,これらはどのように特徴づけられるのであろうか?
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【3】任意等分可能曲線
[Q]定木とコンパスで弧長が任意等分できる曲線は,直線とカージオイドの他にあるか?
について,一般解は難しいようですが,ルーレット曲線の仲間で、他にもいくつもありそうです.一例としてサイクロイドもそのようです.
x=θ−sinθ,y=1−cosθ
x’=1−cosθ,Y’=sinθ
(x’^2+y’^2)^1/2=2sin(t/2)
L(α)=∫(0,α)(x’^2+y’^2)^1/2dt=∫(0,α)sin(t/2)dt=4[1−cos(α/2)]・・・全長はα=2πを代入して8.
有理数0<n/m<1をとると
L(α)=8n/m
となるαは
8n/m=4[1−cos(α/2)]
cos(α/2)=1−2n/m
このαは一般に定木とコンパスで作図できませんが,
cosα=2cos^2(α/2)=2(1−2n/m)^2−1
y=1−cosα=2n/m(1−n/m)
は有理数であって作図可能です.
すなわち,サイクロイド曲線そのものが正確に描かれていれば,m等分するにはn=1,2,・・・,[m/2]について,この式で与えられるyの値anを作図して直線y=anとの交点を求めればよいわけでです.これは定木とコンパスだけで任意のmについて可能です.
特例としてm=3ならサイクロイドの高さ2に対して16/9すなわち高さの比が8/9の位置の点をとればよいことになります.m=4なら中央の点と高さ2に対して3/2つまり高さの比が3/4の位置の点をとる(m=4のときはα=2π/3,π,4π/3に相当する位置)などです.
以上は一例であり,他にも内サイクロイドや外サイクロイド
x=acosθ−cos(a+1)θ
y=asinθ−sin(a+1)θ
aは固定円の半径,回転円の半径1
など多数ありそうです.内サイクロイドや外サイクロイドは,固定円の同心円で任意等分できますから,カージオイドは2通りの方法で任意等分可能ということになる.
[1]任意等分可能・・・・・・直線,カージオイド,サイクロイド族
[2]2^mΠpi 等分可能・・・円,レムニスケート
[3]2^m等分可能・・・・・・r^3/2=cos(3θ/2),r^3=cos(3θ)
[4]2等分すら不可能・・・・r^5/2=cos(5θ/2),r^n/2=cos(nθ/2) (n≧6)
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