■フラクタル構造と非微分可能曲線(その6)
x=x(t),y=y(t) (0≦t≦1)
はひとつの曲線を定義すると考えられていたが,1890年,ペアノは面積を充填する曲線を発見した.その驚きは非常に大きかった.
f(t)=0 (0≦t≦1/3)
f(t)=3t−1 (1/3≦t≦2/3)
f(t)=1 (2/3≦t≦1)
この定義をすべての実数tに拡張して,f(t)は周期2の周期的偶関数とする.
f(−t)=f(t),f(t+2)=f(t)
tがΓに含まれるとき,この関数の重要な性質はΓ上で恒等式
t=Σ(0,∞)2f(3^nt)/3^n+1
an=f(3^nt)=0または1
が成り立つことである.
このことを用いると,t(0≦t≦1)をΓに制限してもペアノ曲線が正方形や立方体を覆うことができるいたるところで微分不可能な連続曲線であることが証明されるのである.
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【1】ペアノ曲線
[1]線分を覆うことができる平面充填ペアノ曲線
x(t)=Σ(0,∞)f(3^nt)/2^n+1=Σ(0,∞)an/2^n+1
[2]正方形を覆うことができる平面充填ペアノ曲線
x(t)=Σ(0,∞)f(3^2nt)/2^n+1=Σ(0,∞)a2n/2^n+1
y(t)=Σ(0,∞)f(3^2n+1t)/2^n+1=Σ(0,∞)a2n+1/2^n+1
[3]立方体を覆うことができる空間充填ペアノ曲線
x(t)=Σ(0,∞)f(3^3nt)/2^n+1=Σ(0,∞)a3n/2^n+1
y(t)=Σ(0,∞)f(3^3n+1t)/2^n+1=Σ(0,∞)a3n+1/2^n+1
z(t)=Σ(0,∞)f(3^3n+2t)/2^n+1=Σ(0,∞)a3n+2/2^n+1
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【2】ペアノ曲線の連続性と非微分可能性
これらの連続性は
1=Σ(0,∞)1/2^n+1
から保証される.
非微分可能性は
S(t)=3/4(E(t−1)+1)=Σ(0,∞)f(3^nt)/3^n
f(t)=S(t)−S(3t)/3
S(9^nt)=3/4(E(9^nt−1))+3/4=3/4(E(9^n(t−1))+3/4 (∵9^n=1 (mod2))ン
Σ(0,∞)S(9^nt)/2^n=3/4(F(t−1))+3/2
はいかなるところでも微分可能でないことから保証される.
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