■ガンマ関数とボーア・モレルップの定理(その15)

【1】ベータ関数

 ベータ関数において,a=m/n,b=1/2とおき,t=x^nと置換すると,

  ∫(0,1)x^(m-1)/(1-x^n)^(1/2)dx=Γ(m/n)√π/nΓ(m/n+1/2)

したがって,

 (m,n)=(1,1)のとき,∫(0,1)1/(1-x^1)^(1/2)dx=2

 (m,n)=(1,2)のとき,∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx=π/2

 (m,n)=(1,3)のとき,∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π

 (m,n)=(1,4)のとき,∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)

が得られます.

  ∫(0,1)1/(1-x^1)^(1/2)dx=2

  ∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx=π/2

は初等的にも得ることができます.一方,

  ∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π

  ∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)

は,特別な数と楕円積分を関係づけるものになっています.

 なお,

  ∫(0,1)1/(1-x^3)^(1/2)dx=Γ^3(1/3)/2^(4/3)3^(1/2)π

を得るには,ガンマ関数の乗法公式(倍数公式)

  Γ(x/2)Γ((x+1)/2)=π^(1/2)Γ(x)/2^(x-1)

と相反公式(相補公式)

  Γ(x)Γ(1-x)=π/sinπx

また,

  ∫(0,1)1/(1-x^4)^(1/2)dx=Γ^2(1/4)/2^(5/2)π^(1/2)

を得るには乗法公式を用いています.

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【2】レムニスケート周率

 レムニスケートの弧長lは

  l=∫(0,r){1+(rdθ/dr)^2}^(1/2)dr

   =∫(0,r)2a^2/{4a^4-r^4}^(1/2)

とくに,a=1/√2とおくと,

  l=∫(0,r)1/{1ーr^4}^(1/2)

となります.

 このようにして,ベルヌーイはレムニスケートの弧長を

  f(x)=1/(1-x^4)^(1/2)

  u=F(z)=∫(0,z)f(x)dx

と表しました.これがレムニスケート積分と呼ばれる積分です.

 ここで,

  1/2・∫(0,1)f(x)dx=1.311028・・・=ω

とおくことにしましょう.4ωがレムニスケートの全長です.円に類比すると,レムニスケートの定数ωは円に対するπと同じ役割を演じていることになります.

 さらにまた,レムニスケートには円に共通する性質があり,定規とコンパスだけで奇数のn等分することができる必要十分条件はnがフェルマー素数(n=2^(2^m)+1の形の素数:3,5,17,257,65537)であることです.

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