■正12面体と正20面体の発見(その2)

 正多面体は正4・6・8・12・20面体の5種類あって5種類しかないことはプラトンの時代にはすでに見つけられていて,それらがプラトンの自然哲学で重要な役割を演ずるところから,正多面体はプラトンの立体(Platonic solid)とも呼ばれています.

 このうち,正八面体は切稜立方体経由で切頂することによってすでに完成しているので,実際には正四面体・正十二面体・正二十面体がその対象になります.もし5種類の正多面体群と5種類の空間充填可能な平行多面体群が揃ったならば教材用としての価値はかなり高いと思われましたので,私はまた中川宏さんにあれこれ注文をつけることにしました.無理をお願いしたのも中川さんだったらきっとそれを実現させてくれると思っていたからです.

 二面角の値はわかっているので,そのデータをもとにして木材を削った場合,正四面体ならできるかも.しかし正二十面体ともなると大きな狂いがでてくることは避けられないので難航が予想されます.何かうまい定規を考える必要があるのですが,とはいっても三次元定規を使う方法では木工技術の枠内から外れてしまいます.

 というわけで,正多面体の木工法で三次元定規は使わずに済む方法,木工技術の枠にはいる方法を確立させるための模索が中川宏さんによって進められました.ここに完成図を掲載します.

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