■ヤコビの4平方和定理(その27)
実は,円周法に基づく漸近公式の結果を正確に証明するだけでも,長くてこみ入った理論が必要になります.そこで漸近公式の概要だけを簡単に述べますが,σ(k)をkの約数の和とすると,p(n)に対する漸化式
p(n)=1/nΣσ(k)p(n-k)
において,σ(k)の漸近的振る舞い
1/n^2Σσ(k)〜π^2/12
を用いると,nが大きい場合の分割数の漸近挙動
p(n)〜exp(π√(2n/3))/4n√3
を得ることができます.このことから,p(n)は準指数関数と考えることができます(p(n)^(1/n)→1).
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【1】ディリクレによる約数関数の漸近挙動
ここで,約数の総和関数σ(k)の漸近挙動
1/n^2Σσ(k)〜π^2/12
がでましたが,1838年,ディリクレはσ(n)の平均値が,大きいnに対して 1/nΣσ(k)〜π^2n/12
を示しました.
1/25Σσ(k)=20.88 → ディリクレの評価はπ^2・25/12=20.56
1/50Σσ(k)=41.6 → ディリクレの評価はπ^2・50/12=41.12
1/100Σσ(k)=82.99 → ディリクレの評価はπ^2・100/12=82.25
また,約数の個数関数d(k)の平均値の漸近挙動について,ディリクレは
1/nΣd(k)〜ln(n)-2γ+1
を示しました.
1/25Σd(k)=3.48 → ディリクレの評価はln(25)-2γ+1=3.37
1/50Σd(k)=4.14 → ディリクレの評価はln(50)-2γ+1=4.07
1/100Σd(k)=4.82 → ディリクレの評価はln(100)-2γ+1=4.76
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【2】オイラー関数φ(n)の漸近挙動
オイラー関数φ(n)(nより小さくnの互いに素な正整数の個数関数)は多くの興味深い性質をもっています.
σ(n)+φ(n)=nd(n)
はnが素数であるための必要十分条件です.その上界・下界は
n^(1/2)/n<φ(n)≦n-1
で与えられますが,1857年,リュービルは
ζ(s-1)/ζ(s)=Σφ(n)/n^s
を示しました.
また,オイラー関数φ(n)の平均値については
1/nΣφ(k)/k(φ(n)の平均/n)〜{Σ1/n^2}^(-1)=6/π^2
1/n^2Σφ(k)〜3/π^2
のようになります.すなわち,大きいnの値に対して,オイラー関数φ(n)の平均値は
1/nΣφ(k)〜3n/π^2
で近似されます.
位数nのファレイ分数の個数は
1+Σφ(k)
ですが,大きいnに対して,この和は3(n/π)^2で近似されることになります.また,1883年,シルベスターは位数nのファレイ分数の和が
(1+Σφ(k))/2
であることを示しました.
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