■MAZDA RE(その8)
ルーローの三角形の工学的な応用としては,1914年,有名なジェームズ・ワットの子孫であるハリー・ジェームズ・ワットが四角形の穴をあけられるドリルの特許を取得.また,ドイツの工学者ヴァンケルがロータリーエンジンの試運転をしたのが1957年,そして1964年には日本のマツダがロータリーエンジンの生産を開始している.
マツダのロータリーエンジンはルーローの三角形を応用したもので,ピストンエンジンに較べて可動部分が少なく,大きさの割には高い出力が得られる.しかし、ロータリーエンジンは燃費が悪く,いわばガソリンを垂れ流しているようなものである.
そこで「後燃焼室」を設けて5サイクルにするとか、非ガソリン,たとえばアルコールを燃料とする内燃機関の最適構造は4サイクルではないかもしれない,等々、解決策はあるかもしれない。
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【1】ロータリーエンジンの機械運動学的解析
ロータリーエンジンの工学機構は数学的に非常によく考えられていて感心させられる.ルーローの三角形型のローターは芯のずれた軸(エキセントリックシャフト)に取り付けられ自由に回転するようになっている.また,ローターの回転を制御するため,軸のまわりで固定された回らない歯車(ステーター)のまわりをローターの内歯が噛み合うようになっている.
ステーターはローターの中心の軌跡に一致するので,ローターの内径はステーターの外径の2倍である.また,ローターを1回公転する間に1/3回自転するという運動を実現させなければならない.
そのためには,ローターの内歯数をr,ステーターの外歯数をsとして
(r−s)/r=1/3 → 2r=3s
であることが必要になる.たとえば,r=24であればs=16ということになる.歯数の差によって,ローターの1回転(自転)で軸は3回転(公転)し,4サイクルエンジンの工程が進行するのである.
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