■フルヴィッツ曲線(その83)
【2】内転形であるための条件
この式でn=3とおくと,
p(θ)=asin2θ−R
となりますが,コラム「アステロイドの平行曲線」で述べた
p(θ)=asin2θ/2+r
と(係数の違いを除いて)一致します.このことから,正三角形に内接しながら回転することができる図形であることがわかります.実際,ω=2π/3とおくと,
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)=−3R(一定)
n=4とすると
p(θ)+p(θ+π)=−2R(一定)
ですから定幅曲線であり,したがって正方形に内接しながら回転することができる図形であることがわかります.一般にnが偶数のときも
p(θ)+p(θ+π)=−2R(一定)
が成り立ちます.
n=5の場合,ω=2π/5とおくと,
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)+p(θ+3ω)+p(θ+4ω)=(一定)
であれば内転形であるための条件を満たしますが,実際に
p(θ)+p(θ+ω)+p(θ+2ω)+p(θ+3ω)+p(θ+4ω)=−5R(一定)
となります.
同様に,任意の奇数nに対しても内転形であることが証明されます.ここでは証明は省きますが,複素数を使って証明するのが一番の近道です.正弦・余弦の和公式・積公式はフーリエ級数との関連で研究された歴史があるのですが,正弦の和公式ではかえって証明が難しくなります.
また,その曲率半径は
ρ(θ)=p(θ)+p”(θ)=−{(n−1)^2−1}asin(n−1)θ−R≧0
より,
a≦R/{(n−1)^2−1}
に対し,包絡線は特異点をもたずに正n角形に内接しながら回転することができる図形であることがわかります.
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a=R/{(n−1)^2−1}
は厳密解というわけです.なお,この図形はa→0とすることによって,次第に円に近づきます.
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