■三角形の心(その7)
三角形の5心とは内心,傍心,重心,外心,垂心を指しますが,古代ギリシャ人は5心について知っていました.その1500年後,フェルマー点が発見され,さらに1〜2世紀後に9点円の中心,その次がジェルゴンヌ点,19世紀にはいるとナーゲル点やブロカール点などが発見されました.
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【3】その他の共点・共線
[1]ド・ロンシャン点
外心に対する垂心の対称点をド・ロンシャン点と呼びます.△ABCの各頂点を通って対辺に平行な直線を引き,その交点をG,H,Iとします.△GHIを大三角形と呼ぶことにすると,両者の重心とオイラー線は一致します.もとの三角形の垂心は大三角形の外心に,外心は9点円の中心に,ド・ロンシャン点は垂心になります.
このことが3本の垂線が1点で交わる証明にもなっています.ついでながら,△ABCの各辺の中点をD,E,Fとすると,△ABCの内心は△DEFの外心となっていることを申し添えておきます.
[2]ジォルゴンヌ点とナーゲル点
△ABCの内接円が3辺に接する点をD,E,Fとすると,チェバの定理により,それと向かい合う頂点とを結ぶ3本の直線AD,BE,CFは1点で交わります.この点をジォルゴンヌ点といいます.
また,△ABCの傍接円が3辺に接する点をX,Y,Zとすると,3直線AX,BY,CZは1点で交わります.この点がナーゲル点です.
三角形ABC内の点Pに対し,AP,BP,CPの延長が対辺と交わる点をX,Y,Zとします.このとき各辺の中点に関するX,Y,Zの対称点をX’,Y’,Z’とすると,チェバの定理により3直線AX’,BY’,CZ’は1点Qで交わります.このようにしてできる2点P,Qを互いに他の等長共役点と呼びます.ジォルゴンヌ点とナーゲル点は典型的な等長共役点の例ですし,重心は自己等長共役点です.
[3]ナーゲル線
内心,重心,ナーゲル点はこの順に1直線上にあり,相互の間隔が1:2です.これはオイラー線「外心,重心,垂心がこの順に1直線上に載っていて,間隔が1:2である」ことのアナローグです.
[4]ソディー線
ジォルゴンヌ点,内心,ド・ロンシャン点は一直線上にあり,オイラー線とはド・ロンシャン点で交わります.
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