■素数と数列(その1)
[1]ディリクレの算術級数定理(1837年)
数列{a+nd},aとdは互いの素、のなかに素数は無限に存在する.
そして,有名な素数定理(PT)は,漸近分布の形で
π(x)〜x/logx
と表すことができます.
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素数は無限個存在し,そして等差数列{a+kn}にも素数は無限に含まれるのですが,素数pでa+knの形のものの分布問題がディリクレの算術級数定理です.
π(x;a,n)〜C・x/logx C=1/φ(n)
算術級数定理は素数定理を精密化したもので,初項aの取り方にはよらないのですが,ここで,オイラーの関数φ(n)は1からn−1までの整数のうち,nと互いに素になるものの個数
φ(n)=#(Z/nZ)
として定義されます.たとえば,n=7の場合,1,2,3,4,5,6なのでφ(7)=6,n=10の場合1,3,7,9がそうなのでφ(10)=4となります.
1760年頃,オイラーは,数nが素因数p,q,r,・・・をもつときに,それらの重複度にかかわらず,
φ(n)=n(1−1/p)(1−1/q)(1−1/r)・・・
であることを示しました.この原理は「エラトステネスのふるい」によっているのですが,たとえば,10=2・5,44=2^2・11,100=2^2・5^2より,
φ(10)=10(1−1/2)(1−1/5)=4
φ(44)=44(1−1/2)(1−1/11)=20
φ(100)=100(1−1/2)(1−1/5)=40
また,任意の素数pに対して,
φ(p^n)=p^n(1−1/p)
したがって,
φ(p)=p(1−1/p)=p−1
となります.
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