■ワットの問題

1784年、ジェームズ・ワットは蒸気機関のピストンロッドをほぼ直線状に動かす単純なリンケージを発明した.

ワットのリンク機構は8の字型の軌跡を描くがレムニスケートとは似て非なる性質をもち、ほぼ直線の部分は、蒸気エンジンのピストンロッドを効率よく動かすことができる(産業革命を引き起こした大発明である)

ワットはルーローへの書簡の中で自分がこれまでの発明したメカニズムの中で最も誇りとしていると書いています.

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ワットから80年後

ポースリエの反転器は円運動を直線運動に,直線運動を円運動に変換する機構で,リンク装置の用途は多方面にわたっています. 

円運動を直線運動に変換することは水車や蒸気を動力とする産業革命の中心的な技術であるが,ワットの近似直線機構から80年たった1864年,フランスの陸軍大将ポースリエによって,精確に直線に沿って動くリンケージが考案された.蝶番付き平行四辺形を使って実現される

ワットのリンケージは近似的な解にすぎなかったが,ポースリエの反転器は真正直線機構という機構学的問題のひとつの解答となった.彼はこの功績によりフランス学士院賞を受賞した.

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ワットから130年後

平面における定幅図形は円だけではなく,そのような形状は無数にあります.定幅図形の中で最大の面積をもつものは円であり,最小の面積をもつものはルーローの三角形です(ルベーグ1914年).

「定幅図形」であるから,どんな向きにおいても同じ長さを1辺とする正方形のなかにピッタリ収まる.そこでドリルの刃をルーローの三角形にすると四角い穴もあけられることになる.

ルーローの三角形の工学的な応用としては,1914年,ジェームズ・ワットの子孫であるハリー・ジェームズ・ワットが四角形の穴をあけられるドリルの特許(PAT No.1241175)を取得.

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