■空間の因数分解(その10)
Appendix-3
Cn=[0,c1,0,・・・,0]
[c1,0,c2,0,・・・,0]
[0,c2,0,c3,0,・・・,0]
[・・・・・・・・・]
[0,・・・, cn-2,0,cn-1]
[0,・・・,0,cn-1,0]
固有方程式Pn(x)=det{xEn-Cn}=0を考える。
第1列に関する展開の後、第1行に関して展開すると、三項漸化式
Pn+1(x)=xPn-c1^2Pn-1(x) (n>=2)
P1(x)=x, P2(x)=x^2-cn-1^2,・・・
が得られる。
Pn(x)=det{xEn-Cn}=0の根すなわち固有値を求めてみると、それはすべて実単根であって、隣り合う2根λi,λi+1の間に必ずPn-1(x)=0の根λjがあることが知られている。また、対角線上の成分がすべて0であるため、根は原点について対称である。
[1]正単体の場合
p1=p2=・・・=pn-2=3 , pn-1=3,
c1=c2=・・・=cn-2=1/2 , cn-1=1/2,
Pn+1(x)-xPn+1/4Pn-1(x)=0
P1(x)=x=U1(x)/2
P2(x)=x^2-1/4=U2(x)/4
P3(x)=x(x^2-1/4)-x/4=x^3-x/2= U3(x)/8
帰納法によりPn(x)=Un(x)/2^nとなる。
Pn(1)=Un(1)/2^n =(n+1)/2^n>0
[2]正軸体の場合
p1=p2=・・・=pn-2=3, pn-1=4,
c1=c2=・・・=cn-2=1/2, cn-1=1/√2,
Pn+1(x)-xPn+1/4Pn-1(x)=0
P1(x)=x=T1(x)
P2(x)=x^2-1/2=T2(x)/2
P3(x)=x(x^2-1/2)-x/4=x^3-3x/4= T3(x)/4
帰納法によりPn(x)=Tn(x)/2^n-1となる。
Pn(1)=Tn(1)/2^n-1=1/2^n-1>0
[3]正20面体・正600胞体の場合
p1=p2=・・・=pn-2=3, pn-1=5,
c1=c2=・・・=cn-2=1/2, cn-1=τ/2,τ=(1+√5)/2
Pn+1(x)-xPn+1/4Pn-1(x)=0
P1(x)=x
P2(x)=x^2-τ^2/4
これらが2つの特殊解Tn(x)/2^n-1, Un(x)/2^nの1次結合型一般解で表されるとする。
P1(x)=AT1(x)+BU1(x)/2=Ax+B(2x/2)=x
P2(x)=AT2(x)/2+BU2(x)/4=A(2x^2-1)/2+B(4x^2-1)/4= x^2-τ^2/4
係数を比較すると
A+B=1
A/2+B/4=τ^2/4
より、A=τ, B=-τ+1
Pn(x)=τTn(x)/2^n-1-(τ-1)Un(x)/2^n
2^nPn(x)=2τTn(x)-(τ-1)Un(x)
τ2^nPn(x)=2τ^2Tn(x)-Un(x)
が得られる。
漸化式より
P3(x)=x(x^2-τ^2/4)-x/4=x^3-(τ^2+1)x/4
P3(x)=x(x^3-(τ^2+1)x/4)- (x^2-τ^2/4)/4=x^4-(τ^2+2)x^2/4+τ^2/16
一方
τT3(x)/4-(τ-1)U3(x)/8=τ(x^3-3x/4) -(τ-1)(x^3-x/2)=x^3-(3τ-2τ+2)x/4=P3(x)
τT4(x)/8-(τ-1)U4(x)/16=τ(x^4-x^2+1/8) -(τ-1)(x^4-3x^2/4+1/16) =x^4-(τ+3)x^2/4+(τ+1)/16=P4(x)
ところで、固有方程式が1以上の固有値をもてば、そのような正多胞体は存在しえない。最大固有値が1より小さいためにはPn(1)>0でなければならない。
τ2^nPn(1)=2τ^2Tn(1)-Un(1)= 2τ^2-(n+1)>0
n<2τ^2-1=2+√5より、n<=4に限られることに注意。古典群では不要であったが、散在群では必要条件となる。
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