■ロータリーエンジンはこれから何処へ向かうのか?(その1)
問題の設定
ロータリーエンジンはピストンがない分,小型化・軽量化が可能となり,大きさの割には高い出力が得られることから,1964年,MAZDAがその生産を開始した.ルーローの三角形に似たローターが偏心回転し,回転子を収容する固定子は中央がややへこんだ繭型をしている.この繭型曲線はペリトロコイド曲線と呼ばれるもので,半径の異なる2つの円があり,半径Rの円に半径r(<R)の円が内接している場合に,半径rの円を固定し,半径Rの円が半径rの円を偏心回転するとき,半径Rの円周上の点Pの軌跡である.フラフープ曲線(ハイポサイクロイドの回転円が固定円よりも大きくなった場合の軌跡)といったほうがわかりやすいかもしれない.この繭型形状のへこみを矯正し,2個の半円を2本の線分で補間したスタジアム型(競技場型)へと改良したい.ここではフルヴィッツのフーリエ級数論の応用として,精確に円と直線に沿って動く機構を紹介する.
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