■3次元格子上の酔歩の再帰確率(その14)

 1次元・2次元酔歩の場合,積分

  Id=Σu2n=(2π)^(-d)∫(-π,π)(1-φ(t))^(-1)dt

  φ(t)=1/dΣcos(t)

が発散することは次のようにして示すことができます.

(1次元酔歩)

  cosx≧1−x^2/2

より,

  2πI1=∫(-π,π)(1−cosx)^(-1)dx

      ≧∫(-π,π)2/x^2dx=∞

 

(2次元酔歩)

  2−(cosx+cosy)≦1/2(x^2+y^2)

より,

  (2π)^2I2=∫(-π,π)(2−cosx−cosy)^(-1)dxdy

         ≧∫(-π,π)2/(x^2+y^2)dxdy

ここで,x=rcosθ,y=rsinθと極座標変換すれば,

  dxdy=rdrdθ

より,θ

  (2π)^2I2≧∫(0,π)∫(-π,π)2/rdrdθ=∞

 

 参考までに,1次元酔歩の再帰確率u2nの母関数は

  Q(t)=(1-t^2)^(-1/2)

2次元酔歩では母関数は第2種楕円積分

  Q(t)=2/πK(t)

となりますが,

  Σun=Q(1)=∞

より,1次元酔歩も2次元酔歩も再帰的であることがわかります.また,これらとベッセル関数との間に,積分公式

  Σu2n=∫(0,∞)exp(-x){I0(x/d)}^ddx

が成り立つことも確認されます.

 

 同様に,3次元空間での極座標変換のヤコビアンは

  dxdydz=r^2sinθdrdθdφ

4次元以上では

  dxdydz・・・=r^(d-1)sin^(d-2)θsin^(d-3)φ・・・drdθdφ・・・

と続きますから,一般のd次元では

  Id=c∫r^(d-1)/r^2dr=c∫r^(d-3)dr

したがって,

  Id=∞   (d=1,2のとき発散)

  Id<∞   (d≧3のとき有限確定)

であることが確かめられます.

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