■合同数の話(その7)
合同数とは、辺の長さがすべて有理数である直角三角形の面積の値である。
6は(3,4,5)の直角三角形の面積であるから合同数である。
5は(3/2,20/3,41/6)の直角三角形の面積であるから合同数である。
1,2,3,4は合同数でないことが証明されているので、5が整数の中で最小な合同数である。
整数の合同数nは、a^2+b^2=c^2,n=ab/2と表せるので、x=n(a+c)/b,y=2n^2(a+c)/b^2とおくと
y^2=x^3-n^2x
が無限個の有理数解をもつことが必要十分条件である。
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【1】タネルの定理(合同数の判定アルゴリズム、1983年)
A=1,2,3,4は合同数ではなく,A=5,6,7は合同数であるが,与えられた正の整数Aが合同数であるかどうかを判定する手順については,タネルの定理(1983)
「Aを平方因子をもたない正の奇数とすると,Aが合同数ならば
2x^2+y^2+8z^2=Aを満たす(x,y,z)の組数は,2x^2+y^2+32z^2=Aを満たす(x,y,z)の組数の2倍に等しい.(BSD予想が正しいならば逆も成立する.)」
たとえば,A=101(合同数)の場合,A=5(mod8)であるが,
2x^2+y^2+8z^2=A→0組
2x^2+y^2+32z^2=A→0組
非自明解そのものを与えることはできないものの,合同数か否かの判定は可能である.
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f(A)=#{(x,y,z)|2x^2+y^2+8z^2=A}
g(A)=#{(x,y,z)|2x^2+y^2+32z^2=A}
h(A)=#{(x,y,z)|4x^2+y^2+8z^2=A/2}
k(A)=#{(x,y,z)|4x^2+y^2+32z^2=A/2}
平方因子を含まないAに対して,タネルの定理が適用できる.#は(x,y,z)の個数を表す.
Aが奇数のとき,Aが合同数であればf(A)=2g(A)
Aが偶数のとき,Aが合同数であればh(A)=2k(A)
となるというのがタネルの定理である.
たとえば,h(2)=2,k(2)=2→A=2は合同数ではない.
タネルの定理の逆,たとえば,
f(5)=0,g(5)=0→A=5は合同数である.
が成り立つためには,BSD予想が正しいことを仮定しなければならない.
BSD予想が正しければ、合同数はタネルの定理の条件を満たすものに限るのである。
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