■形の科学会レポート(その6)

「形の科学会」では質問やコメントの類も記録に残すことになっている。

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佐藤→根岸

昨日の講演を拝聴しました。たまにしか参加しないのですが以前のご講演のときよりご発展の様子がみて取れました。

Gaussian

Lorentzian

両者をλ:1-λに混合したもの

が使われていたのですが、それで20年前の話を思い出しました。

われわれの領域でもスペクトロメトリーはよく用いられます。(先生の場合とは違って、多峰性の曲線になります)

ある物質の水素基を水酸基とかメチル基に置換した微少な構造変化は上記の3つの関数では検出できません。

そのような場合、GaussianとLorentzianの混合でなく、真の意味でのコンボリューションであるVoigt関数を用います。

不定積分なので使いにくいのですが、超幾何関数を使えば結構簡単に実装化できます。

傷のついたヒマワリの変化を検出できないかと思った次第です。ご参考までに

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根岸→佐藤

発表でのコンボリューションは以前に研究していたX線動力学回折で観測した回折強度曲線のフィッテイングに使っていました。

そのときの方法がGaussianとLorentzianを1:1で使うとうまくいきましたので今回も使いました。

Voigt関数と超幾何関数についてはX線回折でも検討したことはありますが使っていません。

今後,使う必要性が生じた場合にはご相談させていただきたいと思います。貴重なコメントをありがとうございました。

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佐藤→根岸

根岸先生のご発表ではアルキメデスらせんとフェルマーらせんの中間的ならせんを考え、黄金角とわずかに異なる開度を用いておられました。

開度をもっとダイナミックに変えるとカオスが現れることについて、コメントいただけないでしょうか?

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根岸→佐藤

カオスとの結びつきはよくわかりませんが,今回のシミュレーションで使った137.4°は黄金角に比較的近い角度で点の分散が得られる開度で選びました。

黄金角を使っても,小さい有効数字ですと100000点以上になった淵ではうまく分散しません。

ご存知と思いますが,開度による連なり線(Parastichy pairs)はJEANのPhyllotaxisにまとめらています。下記します。この場合も点数が数百の場合は点がうまく分散しているように見えますが点数が多くなると偏りが目立ってきます。これらの角度でも点がうまく分散するためには角度の有効数字を多くする必要がありますが,確かめていません。

また,137.4°以外の多くの角度でも点がうまく分散しますがこれも確かめていません。

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佐藤→根岸

山口先生よりカオスと考えるよりは準結晶と考えるべき問題であるというようなサジェスチョンをいただきました。

今後もよろしくご指導願います。

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