■アポロニウスの最大最小問題(その22)

 xに関する2つの多項式が与えられたとき,そこからxを消去するのが終結式であった.終結式を中心に説明したが,差積についてももう一度整理しておきたい.

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 n次方程式:

 f(x)=a0x^n+a1x^(n-1)+・・・+an=a0Π(x−αi)=0

が重根をもつためには,判別式:

  D(f)=a0^(2n-2)Δ^2=0

が必要十分条件である.ここで,

  Δ=Π(αi−αj)  (1<=i<j<=n)

はα1,・・・,αnの差積を表す.差積はn個の根のうち任意の2根が等しいときに0になる.

 差積Δは対称式ではないが,Δ^2は対称式であるから,基本対称式

  σ1=α1+・・・+αn

  σ2=α1α2+・・・+αn-1αn

  σ3=α1α2α3+・・・+αn-2αn-1αn

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  σn=α1α2α3・・・αn   (σkはnCk個の項をもつ)

の多項式として表されることが証明されている(対称式の基本定理:ウェアリング:1762年).すなわち,

  f(α1,・・・,αn)=g(σ1,・・・,σn)

 2次方程式f(x)=ax^2+bx+c=0の判別式は,

  D=a^2(α1−α2)^2=a^2{(α1+α2)^2−4α1α2}

この場合の根と係数の関係は

  α1+α2=−b/a,α1α2=c/a

が成り立つから,

  D=b^2−4ac

はf(x)=ax^2+bx+cの判別式であることはよく知られている.

 3次方程式の判別式は,ax^3+bx^2+cx+d=0の係数を代入して整理すると,

  D=−4ac^3−27a^2d^2+18abcd+b^2c^2−4b^3d

が得られるが,とても憶える気にならないし,また,憶えられる代物でもないであろう.fの次数が高い場合,その判別式を計算するのは容易ではない.ちなみに,5次方程式の判別式の項数は59にもなるという.

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