■アポロニウスの最大最小問題(その17)
D=b^2−4ac
はf(x)=ax^2+bx+cの判別式であることはよく知られている.
3次方程式の判別式は,ax^3+bx^2+cx+d=0の係数を代入して整理すると,
D=−4ac^3−27a^2d^2+18abcd+b^2c^2−4b^3d
が得られるが,とても憶える気にならないし,また,憶えられる代物でもないであろう.fの次数が高い場合,その判別式を計算するのは容易ではない.ちなみに,5次方程式の判別式の項数は59にもなるという.
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一方,ジラールの標準形であれば,判別式は簡単な形で表される.
f(x)=x^3+px+qの判別式は
D=−(4p^3+27q^2)
f(x)=x^n+px+qの判別式は
D=(-1)^(n(n-1)/2){(-n+1)^(n-1)p^n+n^nq^(n-1)}
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また,fの次数が高い場合の判別式は,重根をもつことは判定できても,実係数2次方程式のように実根,虚根,重根の判別ができるわけではない.たとえば,実係数3次方程式では,
(H1)異なる3つの実数解をもつ
(H2)3つの実数解をもつが重根が入っている
(H3)1つの実数解と1組の共約な虚数解をもつ
のいずれかであるが,D>0ならばH1,D=0ならばH2,D<0ならばH3である.また,3重解をもつための必要十分条件はD=0,b^2−3ac=0である.
4次以上の実係数方程式の場合は
D=0:重根をもつ
D>0:偶数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)
D<0:奇数組の共約な虚数解をもつ(重根はない)
であり,D=0は重根をもつための必要十分条件であっても,実根,虚根の判別ができるわけではないのである.
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