■和算における最大最小問題(その4)
【3】掛谷の問題・余聞
デルトイドにはおもしろい性質が知られていて、任意の1点で接線を引くと、それが残りの2辺で切り取られる切片の長さは、元の点の取り方によらず一定である。
そのため、卵形線という制限を外せば,直径3/2の円に内接するデルトイド(面積:π/8)であると予想された。
しかし、この予想は正しくはなかった。1928年にベシコビッチがそのような図形で面積がいくらでも小さいものがあることを証明した.
一見正しそうに思えることでも、実は正しくないことがある。彼の示した解答は実に画期的なもので,多くの数学者をあっと驚かせた.掛谷の問題は問題がだれでもわかる単純明快なものでありながら,解析学と深く結びついていて解決には相応な数学の学識と優れた数学的才能を要するものだったのである.
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