■セルオートマトン(その6)

【6】ウルフラム

 数式処理ソフトというと,MathematicaやらMAPLEやら,いまでは多くの種類があるが,パソコンで手が届くようになったのはユタ大学のハーンによってReduceが開発されて以来のことである.なかでもMathematicaは代表的な数式処理ソフトであり,数式処理ソフトの中でも別格といってよいものであろう.

 その開発者ウルフラム(イギリスの理論物理学者:1959-)は,1975年,16歳でオックスフォード大学に入学後1年でそこを去り,カリフォルニア工科大学の研究員の地位を得る.20歳で博士号を取得し最年少でマッカーサー特別研究員の第1期生となった.

 しかし,後のMathematicaの原型となるSMPの著作権をめぐって大学と抗争となりそこを去る.そして,多数の論文,著作を残した量子色力学の研究を放棄して,セルオートマトン理論の研究に参入する.

 当時,ウルフラムはプリンストン研究所と同時にロスアラモス研究所に所属していたのであるが,ウルフラムによるMathematicaの開発は,彼のセルオートマトンに対する理解と重なっているように見える.また,実際そうであったに違いない.ウルフラムについては「おそろしく頭のいい奴」とその天才ぶりを評する以外にないだろう.

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