■セルオートマトン(その4)
【4】セルオートマトン
セルオートマトンでは,たとえば碁盤の面があり,各セル(あるいは格子状の各サイト)に対して白または黒の石を置くことを想定します.そして,初期配置と時間発展に伴う生死のルールを定めておきます.あるランダムな初期状態から出発すると,その後は決定論的な規則に従って,離散時間ごとに空間的パターンの発生と消滅が繰り広げられることになります.
1970年,英国の数学者コンウェイにより考案されたライフゲームは2次元セルオートマトン法のはしりで,爆発的にヒットしましたからご存知の方も少なくないでしょう.このモデルでは,単純な初期配置と簡単な規則からは予想もできないほど複雑で多彩なパターンが作り出されます.ライフゲームの魅力の主な理由は,セルごとのレベルでは完全に予測可能であるのも関わらず,大きなスケールでの発展パターンには直観が効かないところにありました.
例として「グライダー」と名づけられた配置では,生きているセルが無限に自己増殖し続けます.このことはセルオートマトンが生物の自己複製や形態形成などのモデルの可能性を示唆するものであり,実際に,セルオートマトンは数理物理学や理論生物学のモデルとして広く適用されました.
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