■藤原松三郎(その3)

【4】ルーローの三角形(定幅図形)

正三角形の3つの頂点を中心にして正三角形の1辺の長さを半径とする円を描くと,正三角形に少し丸みをつけた図形ができる.これがルーローの三角形である.ルーローの三角形はどの方向の幅も最初の正三角形の1辺の長さとなる.いかなる方向に対しても等しい幅をもっている図形を「定幅図形」と呼ぶ.平面における定幅図形は円だけではなく,そのような形状は無数にあります.

定幅曲線定理

[1]幅dのすべての定幅曲線の周長はπdで等しい(バービエ)

[2]定幅曲線のなかで面積が最大になるのは円,最小になるのはルーローの三角形である(ブラシュケ,ルベーグ)

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【5】ルーローの三角形の工学的な応用

「定幅図形」であるから,どんな向きにおいても同じ長さを1辺とする正方形のなかにピッタリ収まり,正方形の内転形が得られることになる.ルーローの三角形は正方形の内転形ではあるが,その中心軌道が円ではなく,工学応用上の欠点があった.

中心軌道を円にするため,正三角形を3公転について1回自転させることによって,3頂点はペリトロコイド曲線と呼ばれる軌跡を描く.その際,自転と公転の向きによって,辺縁がややへこんだ2角形と4角形になるペリトロコイド曲線が得られる.ロータリーエンジンの繭型はペリトロコイド曲線と呼ばれるもので,さらに,ペリトロコイド曲線を2公転について1回自転させることによって包絡線を求めると,ルーローの三角形に類似した包絡線が得られる.この包絡線がペリトロコイド曲線の内転形となるのである.

[1]四角い穴をあけるドリル

1914年,ジェームズ・ワットの子孫であるハリー・ジェームズ・ワットが四角形の穴をあけられるドリルの特許(PAT No.1241175)を取得している.

[2]ロータリーエンジン

ドイツの工学者ヴァンケルがロータリーエンジンの試運転をしたのが1957年,そして1964年には日本のマツダがロータリーエンジンの生産を開始しています.ロータリーエンジンはルーローの三角形を応用したもので,ピストンがない分,小型化が可能となり,大きさの割には高い出力が得られます.

なお,中心軌道を円にするため,ほぼ正方形のペリトロコイド曲線に代替した.これは近似的な解を与えるものではあるが,精確に正方形に沿って動くものではない.そこで,別稿ではフーリエ級数を用いてこれを改良することにする.

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[補]半径の異なる2つの円があり,半径Rの円に半径r(<R)の円が内接している場合に,半径rの円を固定し,半径Rの円が半径rの円を偏心回転するとき,半径Rの円周上の点Pの軌跡をペリトロコイドといいます.この曲線は回転運動の合成になっていて,原点を中心とする半径aの円の円周上を等速αで公転する点があり,その点の周りを半径b・等速βで自転する点の軌跡である.

x=a・cos(αt) + b・cos(βt)

y=a・sin(αt) + b・sin(βt)

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