■整数の表現(その20)

保型形式が最初に現れたのは,1750年のオイラーによる五角数定理

  Π(1-q^n)=Σ(-1)^mq^(m(3m-1)/2))

ですが,ヤコビの三角数定理(1829年)

  Π(1-q^n)^3=Σ(-1)^m(2m+1)q^((m^2+m)/2)

を経て,ラマヌジャンの保型形式論の時代に突入します.

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オイラーの分割関数

  f(x)=Π(1-x^n)^(-1)={(1-x)(1-x^2)・・・(1-x^n)・・・}^(-1)

    =Σp(n)x^n=1+p(1)x+p(2)x^2+p(3)x^3+・・・

すなわち,Π(1-x^n)^(-1)は分割数p(n)の母関数なのですが,それと同様にして,ラマヌジャンの分割数を代数的に定義できます.

  Δ(z)=zΠ(1-z^n)^24=z{(1-z)(1-z^2)(1-z^3)・・・}^24

    =Στ(n)z^n=τ(1)z+τ(2)z^2+τ(3)z^3+・・・

ここでも,無限積をベキ級数に展開した式(フーリエ展開)が登場しましたが,このΔ(z)は,重さ12の保型形式

  Δ((az+b)/(cz+d))=(cz+d)^12Δ(z)

と呼ばれるものになっていて,オイラーの五角数定理の拡張(24乗版)と考えられます.

ad−bc=1すなわちすべてのSL(2,Z)に対して成立しますが,とくに

  [0,−1]

  [1, 0]

に対する保型性

  Δ(-1/z)=(z)^12Δ(z)

が成り立ちます.

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