■整数の表現(その18)
【7】ヤコビの三角数定理
オイラーは
(1+z+z^2+・・・)(1+z^2+z^4+・・・)(1+z^3+z^6+・・・)
のz^nの係数は
n=k1+2k2+3k3+・・・
の非負整数解となっていることに気づいた.また,
(1+z+z^2+・・・)(1+z^2+z^4+・・・)(1+z^3+z^6+・・・)=1/(1−z)・1/(1−z^2)・1/(1−z^3)・・・
であるから,
P(z)=Π1/(1−z^m)=Σp(n)z^n
p(n)は分割数,P(z)はその母関数である.
一方,
1/P(z)=Π(1−z^m)
では多くの相殺を生じ,
Π(1−z^m)=Σ(−1)^nz^(3n^2+n)/2
=1−z−z^2+z^5+z^7−z^12−z^15+z^22+z^26−・・・(オイラーの五角数定理)となる.
ここでベキ級数の指数に初めて2次式が登場した.オイラーがこの予想を提起し,彼自身が証明を見出すまで多くの年月が過ぎた.のちにヤコビにより一般的に研究された.
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オイラー関数の2乗
Π(1−x^n)^2=Σ(−1)^k・x^k^2・Σ(−1)^k・x^3k^2+k
=1−2x−x^2+2x^3+x^4+2x^5−2x^6−2x^8−2x^9+x^10+・・・
には特別な性質があるようにはみえない.ところが,オイラーの発見から70年ほど経って,ヤコビはオイラー関数の3乗
Π(1−x^n)^3=Σ(−1)^k(2k+1)・x^k(k+1)/2
=1−3x+5^3−7x^6+9x^10−11x^15+・・・
を与えることを証明した(ヤコビの三角数定理).
Π(1-q^n)=Σ(-1)^m・q^(m(3m+1)/2) (オイラーの五角数定理,1750年)
Π(1-q^n)^3=Σ(-1)^m(2m+1)q^((m^2+m)/2) (ヤコビの三角数定理,1829年)
は,ヤコビの三重積公式を使うとあっさり証明できます.
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