■シンク積分(その4)

【3】シンク積分と超立方体の断面積

 

 関連する公式を公式集で発見し,Mathematicaで検算してみた.公式集は,

  "Table of Integrals,Series and Products"

  I.S.Gradshteyn and I.M.Ryzhik,6th Edition,Academic Press

p431-432である.そこには,

  ∫(0,∞)sin(ax)sin(bx)sin(cx)/x^ndx

とくにn=1,2,3の場合が掲げられていてる.

 

 それらはSinとSignがやたらとでてくる公式であって,例えば,a,b,cを正の定数0<a≦b≦cとし,

(1)a+b≦cならば,

  2/π∫(0,∞)sin(ax)sin(bx)sin(cx)/x^3dx=ab

(2)a+b>cならば,

  2/π∫(0,∞)sin(ax)sin(bx)sin(cx)/x^3dx=ab-1/4(a+b-c)^2

が成り立つ,などである.

 

 これらをみて当該の公式の”幾何学的証明"が

  丹野修吉「空間図形の幾何学」,培風館

に掲載されていたことを思い出した.

 

 (1)の場合は,積分値がcの値によらないことに注意していただきたいのだが,丹野先生はこれらを超立方体と超平面の交わり部分の体積として証明していて,a+b≦cならば積分値がcに依存しないことは,平面が立方体の上面に交わらないことに対応するもので,この驚くべき結果も超立方体と超平面の関係を考えると理解できるというものであった.以下,微力ながら,幾何学的証明について解説したい.

 

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