■レムニスケートの5等分(その2)
【1】レムニスケートの周長
円の4分の1周の長さを求めるのに,y=(1-x^2)^(1/2)に対し,
∫(0,1)(1+(dy/dx)^2)^(1/2)dx
を計算すると,
∫(0,1)1/(1-x^2)^(1/2)dx
となりますが,レムニスケートへの拡張を考慮して,ここでは円(x-1/2)^2+y^2=(1/2)^2を極座標表示したr=cosθに対して,円の2分の1周の長さを求めます.
∫(0,1)(1+(rdθ/dr)^2)^(1/2)dr
を計算すると
∫(0,1)1/(1-r^2)^(1/2)dr=π/2
となります.
同様に,レムニスケートの第1象限の4分の1周の長さを求めるのに,
∫(0,1)(1+(rdθ/dr)^2)^(1/2)dr
を計算すると
∫(0,1)1/(1-r^4)^(1/2)dr=1.311028・・・=ω
となります.4ωがレムニスケートの全長です.レムニスケートの定数(レムニスケート周率)ωは円に対する円周率πと同じ役割を演じていることになります.
一般に,P(x)を2次の多項式とするとき,
F(z)=∫(0,z) 1/(P(x))^(1/2)dx
は対数あるいは三角関数になりますが,重根をもたない3次,4次の多項式の場合はそうはいかず,初等関数をいくら組み合わせても得られない関数が登場します.P(x)を3次,4次の多項式とするとき,u=F(z)は楕円積分,その逆関数z=F(u)は楕円関数と命名されています.また,P(x)を5次以上の多項式とするとき,当該の関数は超楕円積分,超楕円関数と呼ばれます.
極座標はベルヌーイの時代より前にもときどき使われていたのですが,極座標を広範囲に使用し,多くの曲線に適用してさまざまな性質を最初に見つけたのは,ヤコブ・ベルヌーイでした.このようにして,ベルヌーイはレムニスケートの弧長を
u=F(z)=∫(0,z) 1/(1-x^4)^(1/2)dx
と表しました.これがレムニスケート積分と呼ばれる典型的な楕円積分です.
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