■解析(その13)

【3】最速降下線

重力だけの影響下で,最も速く滑り降りる坂道の形状を求めよ(ガリレオの問題)

 1696年,ヨハン・ベルヌーイがこの問題を解き,ヨーロッパ中の優れた数学者に対して,質点が重力だけの作用の下で滑らかな曲線に沿って運動するとき,到達までの所要時間が最小になるような曲線は何か?という「最速降下線」の問題が提出されました.

 

 微小部分における曲線の長さは√{1+(y')^2}dx,また,そこでの速度は重力だけの作用下ですから,高さの平方根√yに比例します.したがって,変分問題は,

  T[y]=∫{(1+(y')^2)/y}^(1/2)dx

を最小とするyを求めることになります.解は直線ではありません.

 

 ニュートンは直ちにこれを解き,匿名で解答を送ったが,ベルヌーイはその解法を見てすぐに解答者を知ったという逸話は余りにも有名です.その答えがサイクロイドだったのです.そして,重力場において2点間を滑りおりる最短時間の曲線の問題を解決するために工夫された方法が,のちに変分学に発展しました.

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