■解析(その1)
科学上の発見については,時が熟してあるアイデアが異なる場所で同時に(ほぼ時を同じくして)出現することはよくあることです.ニュートンとライプニッツがほぼ同じ時期に微分積分学を各々独立に創設したという偶然の一致には,どのような時代的・社会的背景があったのか興味深く感じられます.「微分は微かに分かる.積分は分かった積もり.」という言葉もあるほどで,微分積分によってずいぶん悩ませられた人も多いかと思いますが,微分積分はいまでも科学技術の発展に大きな役割を果たしています.
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【1】アルキメデス
積分法の起源は積分法の確立より,はるか以前にみられます.たとえば,アルキメデスは積分法なしに(ひらめきによって),球の体積が球に接する円柱の体積の2/3になることを発見しました.すなわち,
πr^2・2r・2/3=4πr^3/3
また,球の表面積は,球に接する円柱の側面積と等しくなります.
2πr・2r=4πr^2
ここで,円柱の上下の円も考えれば,球の表面積は球に接する円柱の表面積の2/3になるといってもよく,
(4πr^2+2πr^2)・2/3=4πr^2
さすがのアルキメデスもこの関係の単純さには驚いたに違いないと思われます.アルキメデスは円柱とそれに内接する球の体積比が3:2であることを発見した記念に,自分の墓の上に円柱の形をした記念碑をおくように遺言したといわれています.
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