■微分幾何(その6)
【3】虚の三角法
平面正弦定理では,
sinα:sinβ:sinγ=a/R:b/R:c/R
であるが,球面正弦定理は
sinα:sinβ:sinγ=sin(a/R):sin(b/R):sin(c/R)
それに対して,双曲的三角法では,球面正弦定理のRをiRに置き換えることによって,
sinα:sinβ:sinγ=sinh(a/R):sinh(b/R):sinh(c/R)
で表される.
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【4】リーマン計量
内から見た曲率では,円を使わず,測地三角形=ピタゴラスの定理を使って曲率を測ります.平面の座標が碁盤の目になっている場合の計量がユークリッド・リーマン計量で,ピタゴラスの定理
(ds)^2=(dx)^2+(dy)^2
のなかに隠されています.ここで,斜辺dsのことを線素と呼びますが,これは測地線(最短曲線)を与える素という意味です.
多様体(曲がった空間)におけるピタゴラスの定理は,これを一般化した
(ds)^2=g11(dx)^2+g12dxdy+g21dydx+g22(dy)^2
であって,これがピタゴラスの定理の本来の姿なのです.
また,単位円の内部に,
(ds)^2=4{(dx)^2+(dy)^2}/(1−x^2−y^2)^2
で与えられる非ユークリッド計量の世界を作るとポアンカレ円板になります.非ユークリッド計量といっても決して難しいものを考えているわけではなく,ユークリッド平面との違いは分母に1−x^2−y^2があることです.そのため,境界である円周に近づくにつれて長さが長く評価され,思いのほか長い距離になるのです.ポアンカレ円板からみると,境界の円周は無限の彼方に存在していることになります.
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