■非ユークリッド幾何(その4)
【4】ガウスの測量
ガウスが山に登って三角測量を行った話を紹介しましょう.有名な数学者であるガウスがなぜそんなことをしたのでしょうか?
ユークリッド幾何学(放物線幾何学),双曲線幾何学,楕円幾何学,この3種類の幾何学は大きく見るとそれぞれ異なっていますが,局所的に見るとほとんど変わりません.現在われわれが住んでいる宇宙もユークリッド的に見えますが,もっと大きく見ると非ユークリッド的であってもよいわけです.
ひょっとしたら,三角形の内角の和はπより小さいかも・・・.ガウスがハノーバー公国にある3つの山,ホーエル・ハーゲン,ブロッケン,インゼルスベルクの3つの山頂からなる巨大な三角形の測量に基づいて,この疑問に答えようとしていたことは有名な逸話です.もっとも確かめられたπとの差は測定誤差に基づく近似の精度より小さく,何の結論にも至らなかったのですが,・・・
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「雑感」
宇宙が湾曲していることを証明することは可能である.測定誤差を考慮したうえで,測定された曲率が非零ならば宇宙は湾曲していることになるからだ.宇宙は平坦か,球面的か,双曲的かという問題はまだ解決していないが,宇宙はかなり平坦であることは確かで,曲率は0でないにしても0からほんの少しずれているだけである.皮肉なことに,必ず測定誤差が生ずるから,宇宙が平坦であることを証明するのはいまのところ不可能である.
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