■グラフ理論(その6)

【6】クラトウスキーの定理(1930年)

 「与えられたグラフGが平面グラフである必要十分条件は,GがK3,3とK5をマイナーとして含まないことである.」

 クラトウスキーの定理によれば,K3,3とK5は平面上に枝を交差させることなく描くことができないし,平面上に描くことさえできない.この定理を使うと4色定理は

 「K3,3とK5をマイナーとして含まないグラフは,頂点を4色で彩色することが可能である.」と言い換えることができる.なお,トーラス面上の地図の塗り分けには7色必要な場合がある.

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【7】トーラス面上のK3,3とK5

[1]もし,K3,3が平面的であるならば,v=6,e=9.

  f=e−v=3

また,各面は少なくとも4つの辺をもたなければならないから,

  12=4f≦2e=18

となって矛盾は生じない.

[2]もし,K5が平面的であるならば,v=5,e=10.

  f=e−v=5

また,各面は少なくとも3つの辺をもたなければならないから,

  15=3f≦2e=20

となって矛盾は生じない.

[Q]土地を5つの区域に分ける.どの区域も他の4つの区域と接していなければならない.道路を他の4つの区域に交差しないようにつなぐことはできるか?

[A]平面では実現不可能であるが,トーラス面では可能で,実際,これらのグラフは平面的としてトーラス面上に描くことができる.

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